創業計画書の作り方とポイント
4-3

Ⅱ.創業計画の内容とポイント

4-2に続き、日本政策金融公庫出典の『創業計画書』フォームに沿って項目ごとに解説します。

5.従業員情報

  • 地域の雇用を生み出す事業となるかどうか
  • 人件費を把握し、資金計画の作成を行うことが出来ているか

まずは現状の実態に合わせた情報を書き記すことが必要です。これから個人事業主として1人で事業を始める方は「常勤役員の人数」・「従業員数」ともに0人として記載します。

面談時の対応者視点として、創業する事業が雇用を創出し地域経済の発展に繋がることや、損益・資金計画の作成根拠を明示できるか否かを判断していきます。創業時は1人でも、今後雇用を行っていくことを検討している場合には【8.事業の見通し】の項にて、その旨を記すことが必要となります。

6.借入状況

  • 多額のカードローンが残っていないか
  • 既に存在する個人債務が事業継続に影響を与えないか

各借入については「使いみち」項目が存在しているように、それぞれの資金使途の説明を求められるケースが多くあります。個人の借入については様々理由が存在することと思いますが、特に「カードローン」・「その他」に当てはまる場合には質問される可能性が高いでしょう。

面談時の対応者視点として、事業開始前における個人債務の返済が事業継続に影響を与えないかを【8.事業の見通し】とともに検討します。個人債務の状況が「住宅ローン」や「マイカーローン」などの場合、創業前で既に多額な借入状況となっているケースも考えられます。しかしこれらについては「あって当然」の借入であるため、大きな心配材料とはならないでしょう。多額の債務を滞りなく返済出来ている場合には、その点を評価されることもあります。

7.必要な資金と調達方法

  • 必要な資金を計算したときの妥当性はあるか
  • 見積は複数社依頼し、価格・性能などの観点から選択を行うことが出来ているか
  • 資金調達方法において最大限の自己資金を確保することが出来ているか

・必要な資金は、「創業時における設備資金」と「運営時の運転資金」に区分されます。

それぞれの資金が過剰な投資になっていないか、必要な投資の見極めを出来ているかが重要となります。設備資金については見積書の提出を求められるため、最低限2社以上の見積を比較して提出しましょう。また、初期投資費用全てを含めて記載しましょう。

資金調達の方法においては、「創業の覚悟」を数字で示すことが必要になります。自己資金が創業融資を超える水準であればあるほど、面談対応者の評価は高くなります。それは自己資金の投入額が高ければ高いほど、創業内容に真剣に向き合っているというメッセージになるからです。

日本政策金融公庫の『新・創業融資制度』の場合、自己資金は融資金額の10%必要と記載されています。しかし、現実には10%では融資が難しくなることが多く、自己資金の目安は約30%以上と考えるのが安全です。

資金調達において、自己資金以外でも調達予定の場合には、創業以後の事業継続の可能性があるか判断するために返済方法の記載が必要となります。

8.事業の見通し

創業当初の場合
  • 経費・生活費の細かな支出内容を把握できているか
  • 利益の中から、借入金の返済と生活費の捻出が出来ているか
  • 経費・生活費の細かな支出内容を把握できているか
創業当初の場合
  • 売上高の増加は期待できるか
  • 新たな雇用を生み出すことが出来ているか
  • 創業当初よりも利益が増額しているか

事業の見通しにおいては、事業の継続可能性があり「創業融資の返済を見込めるかどうか」を判断していきます。
(この見通しの根拠を示す資料として「月別収支計算書」も必要となります。【10.別途資料「月次収支計算書」】の項も併せてご参照ください)

【売上高】

集客を実現し売上高を積み重ねるための根拠を記載する必要があります。創業前の担当顧客が、独立時に今後も100%継続した顧客になるという保証はありません(高くても70~80%というところ)。新たな顧客を集客するための具体的な方法も記載できると、なお良いでしょう。

【売上原価】

シャンプー・トリートメントなどが大半であるため、大きく増減することなく一定の割合が維持されます。店販商品などが過剰在庫とならない管理を行っていくことに留意してください。

【人件費】

・売上増加に伴って負担が増えるものとなるでしょう。創業以後スタイリスト・アシスタントなどを増やしていく場合には、その旨を記載しましょう。

【家 賃】

想定する毎月の売上高に対して割合が低くなることが理想です。出店場所によって負担金額は変動しますが、売上高に対して理想的な割合になるかを検討しましょう。

【支払利息】

借入申込条件の内容を基に利息負担金額を計算しましょう。
金利が1%の場合、毎月負担する支払利息の金額は次の通りです。
   借入申込金額500万円の場合…500万円×1.0%÷12か月≒4,167円

【その他経費】

想定される毎月の固定費用などを別紙にて集計しましょう。

【利 益】

この中から「借入金元金の返済」と「生活費(個人事業主の場合)」を捻出します。生活費の算出について、ご自身の毎月の固定的な支出内容を改めて把握することが必要です。住民税や社会保険料負担なども忘れずに、支出状況の集計をしましょう。

算出した利益が「借入返済額+個人生活費」の合計額よりも少ない場合には、事業活動の運転資金が減少します。創業初期においてはこの現象が起こることが想定されます。この資金の減少が長く続き、運転資金が尽きるとなれば、事業継続は困難です。業績向上の新たな行動を起こす時間を確保するために、運転資金はできるだけ多くの金額を確保する必要があることを念頭におきましょう。

日本政策金融公庫の『創業計画書』全体イメージ

大きく4ページに分けて解説してゆきます

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